*以下の内容はネタバレを含みます。
「メアリと魔女の花」を観てきた。
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以前映画館で予告を観た時、とても面白そうだと思った。
予告を見る限り、どう観てもジブリ作品にしか見えないが、スタジオポノックというアニメ制作会社の作品らしい。
www.ponoc.jp
この制作会社はジブリの意思を受け継いだ人たちによって立ち上げられた会社のようだ。
まあそれはどうでもよくて、とにかく興味が湧いたので見ることにした。
イントロの赤毛の魔女
いきなり謎の赤毛の魔女が追手に追われるところから始まる。
この時点では何もわからないので、この赤毛の魔女が主人公なのかな?と思った。
花を奪って地上に墜落するまで、疾走感があって惹きつけられた。
思い返すとこのイントロが一番テンションが上った場面だった。
メアリは赤毛の魔女ではなかった。
赤毛の魔女のイントロが終わるとメアリが登場。あれ、同じ赤毛だけどさっきの魔女より幼いし顔も違う。
さっきの魔女が主人公の話ではないのか。
しばらくはメアリの日常パートが続く。良くも悪くも、使い古されたジブリっぽさのあるキャラクターアニメーション。
メアリのおっちょこちょい表現が割りと度を越していて、注意欠陥ではないかと疑うレベルに酷いのが気になった。
赤毛を気にしているところから、「赤毛」というのがキーワードでこの世界では特別だということが理解できる。
なぜギブ(黒猫)はメアリを夜間飛行へ案内した?
西洋の御伽話や寓話には、黒猫がしばしば魔女の使い魔として登場する。この映画も例外ではなく、黒猫が登場する。
ギブはメアリを夜間飛行まで案内するが、どうもここが腑に落ちない。
ギブにはティムを助けるという動機があることが後にわかるが、初回の案内時にはまだティムは攫われていなかったはずだ。
なぜギブはメアリを夜間飛行へ連れて行った?
ティムはなぜ変身実験台として攫われた?
これが一番の謎。
変身実験台に地上の動物が使われていたので、ティムも変身実験台の対象となることはわかるが、なぜティムが選ばれた?
箒に掘られていた文字は何?
なんだったんだろう?持ち主の名前でなければ、あれは魔法陣のようなものか?
夜間飛行によって烙印された手の紋章は何?
あの紋章は何だったのか?
エンドワ大学
実質、あの学校に存在しているのは、マダムとドクター、佐藤二朗(箒管理者)の3人だけしかない。
学校がこの物語に本当に必要だったのか疑問だ。
魔女という神秘的なワード使っておきながら、規格化された明るい大学で勉強するというあまりにも平凡なバックグラウンドが明らかになり一気に醒めてしまった。
魔女というのは、魔女狩りの文脈の魔女ではなく、ハリポタ文脈の魔法使い少女だったか。
ピーターとの関係
ピーターは恋人でもなんでもないし、そういうストーリーもない。
助けに行く動機として考えられるのは、完全に自分の失敗の尻拭いである。
再会後の恋心を頂いていると勘違いさせるような描写は本当に余計だったと思うし、中途半端だった。
シャーロットおばあちゃん
シャーロットおばあちゃんが実は謎の赤毛の魔女だったことが明かされる。
シャーロットおばあちゃんが、メアリに夜間飛行を取り返してくるようお願いするが、
おばあちゃん何も手助けができずにメアリに全てを託すことになる。
もう魔法を使えないと言っていたのは、歳を取ったから?それとも墜落するときに、髪が黒髪に戻っていたのでそのときに魔法の力を失った?
力が使えないにせよ、優しいおばあちゃんが、メアリに死ぬかもしれないような危険なことを丸投げするのはちょっと信じられなかった。
夜間飛行の力を使って1日だけまた魔法使いに(若返って)戻って、メアリと一緒にピーターを助けに行くぐらいの展開があってもよかったんじゃないかな。
メアリはただの赤毛少女だった
メアリは赤毛であり何かしら、シャーロットから魔女の血を受け継いでいると容易に予想できるが、魔女の力に目覚める、なんてことはなく、一度もその設定は生かされなかった。
そのため、メアリはただの平凡な赤毛少女、で終わってしまった。
これはメアリの成長物語ではない
魔女の力も、箒の修理も、呪文の解除も、全て他力で、メアリ自身の成長によって解決されたものではない。
結局このストーリーが何を伝えたかったのか、エンドロール中に色々思い返してみたが、何もわからなかった。
まとめ
魔女の宅急便、という映画はとても優れた作品であるということを再認識した。